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2023/3/1

イベントレポート

【第2回】地域活動に役立てるためのクリエイティブ講座 「KIITO:300ファームスクール/編集編」

はじめに

KIITO:300ファームスクールは、地域活動や学生活動といった取り組みを進めるなか、広報や記録、イベントの企画などで悩みを抱える方々に向けた地域活動に役立てるための5テーマのクリエイティブ講座です。

第2回目となる今回は、講師にデザインスタジオパステルの高木大吾さんをお迎えし、ことばの整えかた、キャッチコピーや文章の書きかた、広報物の情報のまとめかたを編集者の視点からご指導いただきました。
「編集、ライティングの上達は、書いてなんぼ、読んでなんぼ」とのことで、実際にたくさん書いてみる実践的な講座となりました。

  

編集とは

まずは、高木さんのご経歴や編集者の仕事内容、編集とは何かについてお話しいただきます。
高木さん曰く、編集とは「耳をかたむけて、目をこらえて、ときに調べて、ととのえたり、まとめたり、散らかしたりしながら、点と点を見つけて、それを結んで、大きな絵を描いていく仕事です」。関係性のなさそうなものどうしを観察して関係性を作り、文脈を作り、世界を立ち上げていくことが編集であると教えていただきました。

ワーク①:いきなりインタビュー 『3分間で相手の「一番大切なもの」を教えてもらってください』

早速、一つ目のワークに入ります。
出会って間もない人と2人1組でペアとなり、「一番大切なもの」を教えてもらうためのインタビューをします。
簡単に自己紹介をしてから始める方、相手と自分の共通項を探して距離を縮める方、などなど情報を聞き出すためのみなさんの試行錯誤が垣間見えました。

アイコンタクトをとる?相槌を打つ?表情は?どれもコミュニケーションの一つです。
「相手の視点に立つこと、知ろうとすることは愛すること」だと教えていただきます。
このワークより、相手との距離感、情報との距離感の取り方が大切であることを学びました。
編集をする上で相手の視点に立つことの重要性を学んだ後、「自分都合ではなく、相手のために書くこと」を教わります。
主語が私になっている広報誌が多い現状ですが、主語が変わると後につづく言葉も変わり、伝わり方も変化します。
相手の立場に立つと自然にものごとが見えてくる、と高木さんはおっしゃいます。
また、一番言いたいことを絞りだすことも大切です。「すべて」は伝えられないことを念頭に「いさぎよく、簡潔に。詰め込まない」ことが伝える極意です。

  

ワーク②:見出しトレーニング

続いてのワークでは、4分間の制限時間の中で230字程度の新聞記事に15文字で見出しをつけます。
キーワードとなり得る言葉が沢山ありますが、あらゆる情報を盛り込もうとすると15文字はあっという間。
「いさぎよさ」を思い出して頭をひねります。書き上げたあとは、各テーブルで見出し案を共有します。
同じ文章と向き合っているはずですが、一人一人表現の仕方が異なるのでとてもおもしろいです。
一目見て内容がわかるかどうかが重要なポイントになります。言い換えることは問題ありません。直接的に言わなくても伝えられる方法があることを学びます。

ワーク③:キャッチコピーづくり

3つ目のワークでは実際にキャッチコピーをつけてみます。
キャッチコピーの基本は、同じ事象に別の切り口から光を当てる「変換」であると学んだ後、新聞広告のキャッチコピーを考えます。
テーマは、「防災の日に、新聞広告を出すことを前提に、市民に住宅の耐震化を促すこと」です。
既に記載のあるイラストと併せて、見る人の不安をあおらず、前向きな危機感を抱いてもらうことを目的に作成します。
「発想の転換」が鍵となり、身近なものと紐づけて考えると伝わりやすいとコツを教えていただきました。

  

ワーク④:物語を生み出す

4つ目のワークでは誰も知らない物語を作りあげ、自由に世界を立ち上げていきます。
目の前に見た目はごく一般的な赤いりんごが一つあることを前提として、「りんごの物語を書く」という課題が出されました。
ゼロから物語を紡ぎだすために想像力を働かせながら、みなさん真剣に原稿用紙と向き合います。
このワークを通して、言葉で世界を作り上げることは編集の仕事であることを実感します。

ワーク⑤:編集の練習(編む)

最後のワークでは、ワーク④に続いて「世界を立ち上げる」練習として、ネタを組み合わせてストーリーを作ります。
「てのひら」 「つむじ風」 「涙」 「炎」 「星空」 「神社の古い御神木」 「笑い声」 「忘れられない、あの人」
上記の8つの言葉を全て使用することだけが決まっており、順番や前後に持ってくる言葉は各自の自由です。
この課題で大切なことは、最後まで到達すること。そこに意味があると高木さんはおっしゃいます。
点と点を線でをつないでいく作業が編集であることを実感します。

  

おわりに

最近耳にする機会も増えてきたポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)などにも触れつつ、文章を書く上で、基本的には「正しさ」より相手にとって「優しい」かが大切だと高木さんは述べられます。相手のことを考える想像力がなによりも大切になります。相手にこう伝えたいという思いがあるからこそ、点と点を結んで言葉を紡ぎます。
「あなたの言葉を見つけてください。あなたの世界を立ち上げてください。それがテクニックよりもなによりも大切な編集の「コツ」です」と、高木さんは締めくくり講座は終了しました。

第3回目は2月19日(日)写真屋じょうちゃんこと坂下丈太郎さんを講師にお招きし、写真編を開催いたします。

地域活動に役立てるためのクリエイティブ講座「KIITO:300ファームスクール:初級編」
イベントページは こちら
第1回デザイン編レポートは こちら